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"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!
「“日本一貧乏な観光列車”が走るまで」という新刊 [No.H279]
“日本一貧乏な観光列車”が走るまで
「ながまれ海峡号」の奇跡
という、なんともインパクトがあるタイトルの書籍が発刊されました。
道南いさりび鉄道で下記の週末を中心に走る、日本旅行プロデュースの「ながまれ海峡号」がどのような経緯を経て走るようになったかを記した書です。
「知恵と情熱で日本一となった 北海道の小さなローカル線の物語」という副題から、限られた予算内でいかに充実した観光列車にすることができるかを、試行錯誤のうえで企画した経緯が記されていることが予想できることでしょう。
実際、豪華な内装で来客を楽しませる観光列車が多い中で、「ながまれ海峡号」は観光列車として最低限の改装はしたものの、とても豪華といえる車内ではありません。快適さがあれば、豪華さはなくても楽しめる。その代わり、他では味わえない楽しみを提供しますといったコンセプトの列車です。
同列車については、昨年、筆者が乗車した結果を、当コラムで4週続けて連載しています。
2017/06/23 「鉄旅オブザイヤー受賞の「ながまれ海峡号」の魅力1」
2017/06/30 「鉄旅オブザイヤー受賞の「ながまれ海峡号」の魅力2」
2017/07/07 「鉄旅オブザイヤー受賞の「ながまれ海峡号」の魅力3」
2017/07/14 「鉄旅オブザイヤー受賞の「ながまれ海峡号」の魅力4」
これらを読んでいただければ、いかに楽しい列車であるかを理解していただけるものと思います。
ところが、その楽しみの中心ともいえる駅ホームでの『いさりび焼き』が、すんでのところで廃案になるところだったそうです。このことは、この書を読むまで、筆者も知りませんでした。
『いさりび焼き』は、沿線の海と陸の幸、それも乗車日にもっとも旬なものを茂辺地駅のホームで焼くというものです。参加者は、その焼きたてを詰めてもらった弁当箱を持って、「ながまれ海峡号」の自席に戻って食べます。これが当日のメインディッシュ。
観光列車はいまや全国各地で走っていますが、その多くは出来合いの弁当を積み込んで食べるというものです。もちろん、それぞれが食材にこだわり、料理方法にこだわっていますので、おいしいことに間違いはありません。
でも、旬な食材を目の前で焼いて箱詰めし、それをすぐに食べるおいしさには敵いません。しかも、観光列車の多くは2時間以内のツアー形式が多いため、何かと慌ただしい感じが否めないものです。その点、「ながまれ海峡号」はほぼ4時間を要するツアーです。その4時間は、特別な観光地がないにも関わらず、飽きのこない満足する内容なのですから、特筆に値するでしょう。
そのツアー内容は上記4回連載でご覧いただき、そのツアーができた経緯については、当書を読むことで理解が深まります。
最後に、同書の概要を記します。
気軽に読める楽しい本ですよ。
今年の「ながまれ海峡号」の運行日程はまだ発表されていませんが、5月から10月までに計12回が予定されています。
5月以降の週末に函館へ行くことが決まったなら、ぜひ道南いさりび鉄道のホームページをチェックしてください。乗れば、きっと思い出深い旅になることでしょう。
掲載日:2018年03月30日
「ながまれ海峡号」の奇跡
という、なんともインパクトがあるタイトルの書籍が発刊されました。
道南いさりび鉄道で下記の週末を中心に走る、日本旅行プロデュースの「ながまれ海峡号」がどのような経緯を経て走るようになったかを記した書です。
「知恵と情熱で日本一となった 北海道の小さなローカル線の物語」という副題から、限られた予算内でいかに充実した観光列車にすることができるかを、試行錯誤のうえで企画した経緯が記されていることが予想できることでしょう。
実際、豪華な内装で来客を楽しませる観光列車が多い中で、「ながまれ海峡号」は観光列車として最低限の改装はしたものの、とても豪華といえる車内ではありません。快適さがあれば、豪華さはなくても楽しめる。その代わり、他では味わえない楽しみを提供しますといったコンセプトの列車です。
同列車については、昨年、筆者が乗車した結果を、当コラムで4週続けて連載しています。
2017/06/23 「鉄旅オブザイヤー受賞の「ながまれ海峡号」の魅力1」
2017/06/30 「鉄旅オブザイヤー受賞の「ながまれ海峡号」の魅力2」
2017/07/07 「鉄旅オブザイヤー受賞の「ながまれ海峡号」の魅力3」
2017/07/14 「鉄旅オブザイヤー受賞の「ながまれ海峡号」の魅力4」
これらを読んでいただければ、いかに楽しい列車であるかを理解していただけるものと思います。
ところが、その楽しみの中心ともいえる駅ホームでの『いさりび焼き』が、すんでのところで廃案になるところだったそうです。このことは、この書を読むまで、筆者も知りませんでした。
『いさりび焼き』は、沿線の海と陸の幸、それも乗車日にもっとも旬なものを茂辺地駅のホームで焼くというものです。参加者は、その焼きたてを詰めてもらった弁当箱を持って、「ながまれ海峡号」の自席に戻って食べます。これが当日のメインディッシュ。
観光列車はいまや全国各地で走っていますが、その多くは出来合いの弁当を積み込んで食べるというものです。もちろん、それぞれが食材にこだわり、料理方法にこだわっていますので、おいしいことに間違いはありません。
でも、旬な食材を目の前で焼いて箱詰めし、それをすぐに食べるおいしさには敵いません。しかも、観光列車の多くは2時間以内のツアー形式が多いため、何かと慌ただしい感じが否めないものです。その点、「ながまれ海峡号」はほぼ4時間を要するツアーです。その4時間は、特別な観光地がないにも関わらず、飽きのこない満足する内容なのですから、特筆に値するでしょう。
そのツアー内容は上記4回連載でご覧いただき、そのツアーができた経緯については、当書を読むことで理解が深まります。
最後に、同書の概要を記します。
気軽に読める楽しい本ですよ。
タイトル | : | “日本一貧乏な観光列車”が走るまで 「ながまれ海峡号」の奇跡 |
発 行 日 | : | 2018年3月10日 |
著 者 | : | 佐藤優子 |
監 修 | : | 永山茂(日本旅行北海道) |
協 力 | : | 春井満広(道南いさりび鉄道株式会社) |
写真提供 | : | 永山茂、道南いさりび鉄道株式会社、佐藤優子 |
デザイン | : | 小島正継(株式会社graff) 吉村聡子(株式会社graff) |
編 集 | : | 宮内宏子 |
発 行 人 | : | 木本敬巳 |
図書符号 | : | ISBN978-4-8356-3847-8 C0095 \1400E |
定 価 | : | 本体1400円+税 |
発行・発売 | : | ぴあ株式会社 |
今年の「ながまれ海峡号」の運行日程はまだ発表されていませんが、5月から10月までに計12回が予定されています。
5月以降の週末に函館へ行くことが決まったなら、ぜひ道南いさりび鉄道のホームページをチェックしてください。乗れば、きっと思い出深い旅になることでしょう。
掲載日:2018年03月30日
●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。