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汽車旅ひろば - ひろやすの汽車旅コラム

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"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!

北陸新幹線の新駅…3月14日を目指して準備着々 2/2 [No.H126]

先週に続いて、北陸新幹線の新駅をご紹介します。

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黒部峡谷鉄道の車両が展示された、黒部宇奈月温泉駅前
富山駅の上り側の次駅は、黒部宇奈月温泉駅という新駅です。黒部市内に立地しますが、宇奈月温泉への最寄り駅となるため、このような駅名になったようです。駅前には、右の写真のように、黒部峡谷鉄道の電気機関車と客車が展示されています。宇奈月温泉や黒部峡谷鉄道への最寄り駅とアピールするには、恰好の展示物ですよね。
この駅は富山地方鉄道と交差する箇所に設置したため、富山地方鉄道も新黒部駅を新設します。こちらは一足早く、2月26日に開業します。場所は電鉄黒部駅から宇奈月温泉方向に3駅目の長屋駅と、4駅目の舌山駅の間になります。同日にダイヤ改正も実施して、特急は電鉄黒部~宇奈月温泉間で、この新黒部駅だけに停車することになります。ちなみに、いまは東三日市・浦山・愛本の3駅に停車していますので、思い切った停車駅の見直しとなります。


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レンガ車庫の3連アーチを再建し、路面にはレールも敷いた糸魚川駅アルプス口
黒部宇奈月温泉の次は新潟県に入って、糸魚川駅となります。
糸魚川駅は橋上駅となり、北側が日本海口、南側がアルプス口と命名されました。そのアルプス口の一角には、左の写真のとおり、3連アーチで知られていた糸魚川レンガ車庫の妻面が移設・再建されました。耐久性と安全性の観点から、駅舎側には鉄製の補強がしっかりしてあります。その一番西側のアーチからは、駅前に向かってレールが延びています!
このレールの先、新駅舎のなかには国鉄標準色のディーゼルカー・キハ52がわずかに写っているのですが、わかりますでしょうか。これは、平成22(2010)年3月のダイヤ改正まで大糸線で走っていた3両のうちの1両です。通常は、同所で待合室として開放されるとともに、イベント時には建物から引き出して、駅前のレール上に展示するそうです。また、駅舎1階はキハ52も含めて「糸魚川ジオステーション ジオパル」と名づけた観光PR施設となるそうで、そこにはジオラマ鉄道模型なども展示されるということです。
このように、糸魚川駅は新幹線開業が楽しみな駅舎の筆頭といえましょうか。


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新幹線開業までは、「脇野田」駅の表示の上部に「上越妙高駅」の表示がある、上越妙高駅。
新潟県にできるもう一つの北陸新幹線駅は、上越妙高駅です。信越本線脇野田駅のすぐ西側にできる新駅ですが、同駅で「えちごトキめき鉄道」と乗換がし易いように、信越本線脇野田駅を約100メートル西に移転するとともに、前後の線路も付け替えました。脇野田駅が新駅に移転したのは昨年10月19日ですが、それから北陸新幹線開業の前日となる今年3月13日までの約5ヶ月間は、JR東日本信越本線脇野田駅です。しかし、新幹線が開業するとともに、えちごトキめき鉄道上越妙高駅となります。この5ヶ月間は過渡期のため、右の写真のとおり、地平ホームは「脇野田」の表示でありながら、上方には「上越妙高」と表示されている状態です。
この新駅は、地元がかなり力を入れていることがわかる、東西連絡通路が広く、休憩スペースなどもゆったりと造られた、デザイン的にも優れた駅となっています。送迎者用のロータリーも駅の東西両方にしっかりしたものを建設しています。それにも関わらず、駅周辺には店舗一つ無く、駅内にもいまのところ店舗がない状態です。新居~脇野田(上越妙高)~高田~直江津の区間は、沿線人口が多く利用者も多いところですが、その在来線(えちごトキめき鉄道)利用者と北陸新幹線利用者との関係がどうなるのか、開業後の注目ポイントの一つではないでしょうか。


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飯山駅も、北陸新幹線との乗り換えが容易なように、在来線ホームを約250m南に移転した。
北陸新幹線にはもう一つ、長野県に飯山駅ができます。ここも、飯山線の飯山駅を約250m南に移転して新幹線との乗換を容易にしました。新幹線と飯山線がほぼ直角に交差することもあって、先の脇野田(上越妙高)駅とは全く異なる駅の造り方となっています。その最大の違いは、飯山駅が質実剛健を旨とするような造りになっていることでしょう。改札口の先にできた地元出資の施設は、コンパクトにまとまっています。センスの良い吹き抜けの建物には、上下エスカレーターが1本あるだけです。駅前ロータリーも1つだけで、さほど大きくもありません。
一方、現在、飯山~長野間は飯山線の列車で40-50分を要していますが、北陸新幹線が開業すると、所要時間は一気に約12分となり、通勤・通学に利用する人がある程度見込めそうです。ちなみに、現在、飯山線経由での運賃は580円ですが、新幹線では運賃500円と特急料金1,840円を合わせて2,340円となります。

各駅とも、新幹線開業後に利用者を増やして地元の産業振興をしたいと、あの手この手でアピールしようとしているようです。一ヶ月後の開業が楽しみですね。


★北陸新幹線 旅行特集はこちら

掲載日:2015年02月13日


●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。