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汽車旅ひろば - ひろやすの汽車旅コラム

汽車旅ひろば


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"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!

びわこ京阪奈線フリーきっぷタヌキが出迎える、信楽高原鐵道が運行を再開 [No.H120]

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被災した杣川橋梁を渡る信楽高原鐵道の列車。再建された写真左から2番目の橋脚は、他に比べて明らかにきれいだ。
信楽焼のタヌキで知られる信楽は、滋賀県の南部にあります。忍者の里として知られる伊賀・甲賀(こうか)の甲賀に近く、10年前の広域合併により、信楽高原鐵道は全線が甲賀市となりました。
さて、JR草津線の貴生川(きぶかわ)駅から分岐して信楽まで14.7kmの信楽高原鐵道は、昨年(平成25年)9月の台風により、貴生川駅からすぐのところにある杣川橋梁の橋脚が流失してしまい、それ以外の沿線も崖崩れなどが多発して、運休を余儀なくされました。その後、1年2カ月をかけて橋脚を再建し、沿線を整備することで、11月29日から運行を再開しています。
流失前の橋脚は新しかったのですが、もっとも川の水にさらされる部分が、台風で増水した川の水に耐えられなかったわけです。運行再開後に、その杣川橋梁に行ってみました。再建された橋脚は写真の左から二番目で、他の橋脚とくらべて汚れがなくきれいで、ひと目でそれと分かります。


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タヌキが出迎えるホームには、運行再開を祝うのぼり旗もはためいている。
では、信楽高原鐵道に乗りましょう。
この路線の特徴は、貴生川駅を発車してから14分間、9.6kmものあいだ駅がなく、ひたすら走り続けることです。それも急勾配が延々と続く難所です。その勾配を登り切ったところに他の5駅があるので、鉄道会社名に「高原」がついているわけです。ちなみに、5駅で5.1kmですから、最初の1駅間で全線のほぼ3分の2を走ってしまう計算です。その5駅は、紫香楽宮跡・雲井・勅旨・玉桂寺前・信楽と、奈良時代に遷都したといわれる地ならではの駅名が続いています。
各駅には、名物である信楽焼のタヌキが置いてあり、愛嬌を振りまいています。そのホームには、運行再開を祝うのぼり旗と、みんなで乗ろうという啓発用のぼり旗が掲げられています。運行再開ののぼり旗には特に何も記されていないので、信楽高原鐵道として製作したものだと思います。もう一方は、水口ロータリークラブが作ったことが記されています。水口というのは、甲賀市となる前の水口町で、貴生川とその東側に広がる区域となります。
いかにも地元密着型の鉄道らしく、微笑ましいですよね。


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スタンプラリー台帳と「びわこ京阪奈線フリーきっぷ」、それに記念品としてもらったキーホルダー。
信楽高原鐵道では、この運転再開を祝して、2月1日までスタンプラリーを実施しています。右の写真は、筆者が実際に参加してきたスタンプラリー台帳です。信楽高原鐵道2駅、JR3駅、近江鉄道3駅の計8駅のうち、4駅のスタンプを集めて、信楽駅もしくは近江鉄道の貴生川駅・八日市駅のいずれかのきっぷ売場へ持って行くと、「信楽高原鐵道特製行き先サボキーホルダー」がもらえます。写真の右下に写っているものです。ただし、信楽駅のスタンプは必須となっています。さらに、その場でくじ引きができて、当たりが出ると信楽高原鐵道オリジナル図書カードがもらえるそうです。筆者は外れでしたが…
このスタンプラリーには交通費が結構かかってしまうのですが、写真中ほど左に写っている「びわこ京阪奈線フリーきっぷ」大人1,030円、小人520円を使うとお得です。信楽高原鐵道と近江鉄道に乗り放題となるきっぷなのです。通常は土休日だけの販売ですが、スタンプラリー参加者に限って、期間中は平日でも発売してくれます。近江鉄道は彦根・米原まで路線がありますので、東の方からアクセスされる方は、近江鉄道を利用して信楽高原鐵道にアクセスすると経済的ですよ。
運行再開を祝し、そして愛嬌あるタヌキに会いに、信楽高原鐵道へ行ってみてはいかがでしょう? なお、スタンプラリー台帳は、駅改札口の近くに置いてあるスタンプラリー告知のチラシの裏側となっています。



掲載日:2014年12月26日


●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。