日本旅行 トップ > JR・新幹線+宿泊 > 鉄道の旅 > 汽車旅ひろば > ひろやすの汽車旅コラム 「3月14日ダイヤ改正で「トワイライトExp」「北斗星」が廃止に」

[ ここから本文です ]

汽車旅ひろば - ひろやすの汽車旅コラム

汽車旅ひろば


  • ひろやすの汽車旅コラム
"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!

3月14日ダイヤ改正で「トワイライトExp」「北斗星」が廃止に [No.H127]

3月14日(土)のJRグループダイヤ改正に向けて、ここのところ多くの話題がでていますね。その最大の注目は、前回まで取りあげてきた北陸新幹線の金沢延伸ですが、その一方で廃止になると注目を浴びている列車があります。北海道と本州を結ぶ寝台特急列車「トワイライトエクスプレス」と「北斗星」です。また、今回は廃止とはならないものの、これらの列車の後を追うと目されている夜行急行「はまなす」についても取りあげます。


イメージ
クリックして拡大
3月14日のダイヤ改正で廃止となる、日本最長距離を走る寝台特急「トワイライトエクスプレス」。
寝台特急「トワイライトエクスプレス」は、大阪から日本海側を走って札幌までを結んでいます。その営業距離は1495.7kmで、いま日本で最長距離を走る旅客列車です。青函トンネルが完成した翌年となる1989年に団体向けの臨時列車として走りはじめ、同年12月2日から年末の臨時列車として個人向けにも売り出されました。その後も今日まで臨時列車として走っていますが、毎週4往復を基本とした、定期列車に近い扱いとなっています。また、旅行会社のツアー利用でも人気のため、時刻表では走らないとなっている日にも、団体貸切で走っているところをよく見かけます。
その最大の特徴は、豪華指向で個室主体の寝台列車ということです。右の写真の機関車に続く2両は、すべてA個室です。客車の3両目に屋根の形が違う車両がありますが、これが食堂車「ダイナープレヤデス」です。車内で調理をする本格派食堂車として、最近はやりのクルーズトレインとも一線を画しています。
下りは大阪発11:50→翌朝9:52札幌着という走行時間から、日本で唯一、昼食を提供する食堂車としても人気があります。つまり、この下り列車だと、昼・夜・朝の3食を列車内で食べることになるのです。上りは札幌発14:05→翌日12:53大阪着で、昼食はありませんが、札幌発車後にティータイムがあります。
客車4両目はサロンカーというフリースペースで、シャワー室もあります。続く5-7両目はB寝台個室の二人用と一人用で、ここまで個室寝台が続きます。8,9両目がBコンパートと呼ばれるB寝台車ですが、通常のB寝台車と同じく上下2段の向かい合わせ4ベッドごとに、扉がついています。ヨーロッパで見かけるコンパートメント方式を採用しているわけで、4人のグループで乗れば個室同等というわけです。なお、札幌方の端には電源車を1両つないでいます。
2月1日から最終運行となる3月12日発までは、3編成をフル稼動して毎日運転としています。その3月12日発は、一ヶ月前の10時発売時点で即完売になったとのこと。ニュース報道されましたので、ご覧になった方も多いものと思います。


イメージ
クリックして拡大
「北斗星」は3月14日のダイヤ改正で臨時列車となり、8月22日札幌発が最終列車と発表された。
トワイライトエクスプレスより1年早く、青函トンネルの完成と同時の1988年3月13日のダイヤ改正から走りはじめたのが、寝台特急「北斗星」です。上野~札幌間を結ぶ列車で、当時、国内に多く走っていたブルートレインとは一線を画した、個室が多く、食堂車を連結した豪華編成として話題になりました。この「北斗星」の成功がなければ、「トワイライトエクスプレス」の誕生はなかったことでしょう。
その「北斗星」は、最大1日3往復の運転となっていましたが、その人気は、登場時がバブル経済真っ最中ということもあったのでしょう。その後、飛行機の利用が一般化するにつれて利用が減っていき、2008年3月15日からは1日1往復となっています。その定期運転も、3月13日発が最後となり、ダイヤ改正後は基本的に週3往復となります。同じく週3往復で同区間を走る豪華寝台特急「カシオペア」と、毎日交互に同じ時刻で走ることになります。
それというのも、来年3月に北海道新幹線の新青森~新函館北斗間を開業させるため、来年度は青函トンネルでの新幹線開業準備が本格化するのです。青函トンネルは、日中に「スーパー白鳥」等が走っています。貨物列車も多く走っています。一方で、開業約半年前となる9月からは運転士の訓練運転も増えるため、深夜帯は新幹線開業準備に充てようということになったわけです。その廃止まででも、ゴールデンウィークやお盆期間を中心に、青函トンネルのために運転しない日があります。
定期列車の最終列車となる、上野・札幌3月13日発の上下列車も、トワイライトエクスプレスと同様に、発売と同時に全席売り切れたそうです。ダイヤ改正後の臨時列車も、なかなか予約が取れない列車となることでしょう。


イメージ
クリックして拡大
まだまだ気を吐く夜行急行「はまなす」は、今や貴重な座席車と寝台車の混成編成。
北海道と本州を結ぶ夜行列車には、前述の寝台特急に比べて地味な存在の急行「はまなす」があります。
青森 22:18 → 0:44 函館 1:23 → 6:07 札幌
札幌 22:00 → 2:52 函館 3:22 → 5:39 青森
の1往復です。
こちらは定期列車として今のところ引き続き運転されることになっていますが、4月1日以降、上り函館発が34分遅くなり、青森着が40分遅くなる日が多くなります。
札幌 22:00 → 2:52 函館 3:56 → 6:19 青森
[斜字が変更時刻]
また、運休日も9日間あります。こちらも、青函トンネルの新幹線開業準備の影響です。
「はまなす」の編成は、B寝台車2両、指定席車3両、自由席車2両の7両編成です。寝台車と座席車の併結編成は、国鉄時代には多くありました。しかし、現存しているのはいまやこの「はまなす」だけです。急行列車の定期列車も、この「はまなす」だけとなりました。それも、14系・24系客車を使用しています。いまや貴重な夜行座席客車列車ということになります。
その3両ある指定席車は、1両がカーペット車で、2両がドリームカーです。カーペット車は文字どおりカーペット敷きの車両で、ごろ寝する形になりますので、背筋を伸ばして寝られるのが嬉しいところです。ごろ寝といっても一人ずつ仕切カーテンがあり、毛布や枕の用意もあります。ドリームカーはリクライニング角度が145度と大きいことが特徴の座席で、天井灯の減光もされるので、これまた寝やすくなっています。いずれも指定席料金520円(閑散期は320円)と設備に比べて割安感があることから人気があります。

上記以外の国内の夜行列車は、東京~高松・出雲市を結ぶ「サンライズ出雲・瀬戸」、それに、クルーズトレイン「ななつ星」だけとなってしまいました。
特に北海道関係は北海道新幹線が開業する来年3月以降に存続するのは難しいのではとの観測が流れているだけに、機会があれば、早めに乗っておきたい列車です。


掲載日:2015年02月20日


●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。