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汽車旅ひろば - ひろやすの汽車旅コラム

汽車旅ひろば


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"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!

小田急電鉄とJR常磐線が相互直通運転を開始 [No.H183]

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JR常磐線を走るJR東日本E233系2000番台(左)と、小田急4000形(右)。前面の印象も屋根上もよく似ている。
3月26日のダイヤ改正では、もっぱら北海道新幹線が注目されました。しかし、それ以外にもいろいろと変化のあったダイヤ改正でした。その中でも注目されるものに、小田急電鉄とJR常磐線が相互直通運転を始めたことがあります。
小田急電鉄とJR常磐線は、それぞれ従来から東京メトロ千代田線と相互直通運転をしていました。つまり、東京メトロ千代田線には、自社の車両に加えて、小田急電鉄の車両もJR常磐線の車両も行き来していたのです。それであれば、東京メトロを挟んで小田急電鉄とJR常磐線が相互直通運転をすることで、より柔軟な運用ができそうです。
そのために、JR東日本は常磐線用のE233系2000番台を造り、小田急電鉄は4000形を造りました。その両形式を同じ場所で撮ったのが右上の写真なのですが、何だか似ていますよね?
それもそのはず、どちらもJR東日本新津工場(現・総合車両製作所新津事業所)等で造られた、基本構造を共通化した車両なのです。


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JR常磐線内での、小田急4000形の行き先表示の例。
相互直通運転をしているのは、小田急多摩線の唐木田駅からJR常磐線の我孫子駅までです。
唐木田駅から新百合ヶ丘駅を経て代々木上原までが小田急線です。その後、東京メトロ千代田線を綾瀬駅まで走り、さらにJR常磐線で我孫子駅に至ります。
小田急線内は“多摩急行”と呼ばれる急行運転ですが、東京メトロ千代田線とJR常磐線は各駅に停車します。平日の日中は唐木田駅~我孫子駅間を20分ヘッドの運転ですが、朝晩には綾瀬駅行、松戸駅行、柏駅行、取手駅行などもあります。
この運用には、JR東日本・小田急電鉄・東京メトロ(東京地下鉄)という相互直通をする3社の車両が充当されますので、次はどの車両かな? と楽しむこともできます。
行き先表示も基本的に統一されていて、JR常磐線内から小田急に向かう列車の場合、

   各駅停車 常磐線
   Local 千代田線直通

という表示です。これでは小田急線直通ということが判りませんが、それで良いのでしょう。ただし、別途「唐木田」の行き先表示も出ますので、判る人には小田急線直通列車だということがわかります。


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「各駅停車 唐木田」の行き先表示を出しているJR東日本E233系2000番台。
その「唐木田」の行き先表示を出しているJR東日本E233系2000番台が、右の写真です。
先に紹介した小田急4000形の行き先表示例「千代田線直通」と、交互に表示されます。
ちなみに、写真の右側を走っている車両は、常磐快速線の快速列車です。
唐木田駅~我孫子駅間は74. 3kmで、多摩急行は1時間46分を要して走ります。ロングシートの通勤電車ですから、全区間を乗り通す人はほとんどいないと思います。しかし、途中区間の利用者は、乗換をしなくてよくなり便利になりました。
また、東京メトロ千代田線の両端駅である代々木上原駅と綾瀬駅で、折り返し運転がなくなりました。これにより、両駅での車両転線作業がいらなくなるうえ、旅客への乗り換え案内をしなくて良くなりました。

近年、首都圏では複数社を経由する長距離通勤列車が増えていますが、小田急線とJR常磐緩行線にもその流れの列車が登場したわけです。


掲載日:2016年04月08日


●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。