日本旅行 トップ > JR・新幹線+宿泊 > 鉄道の旅 > 汽車旅ひろば > ひろやすの汽車旅コラム 「海を臨むレトロな駅…大村線千綿駅」

[ ここから本文です ]

汽車旅ひろば - ひろやすの汽車旅コラム

汽車旅ひろば


  • ひろやすの汽車旅コラム
"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!

海を臨むレトロな駅…大村線千綿駅 [No.H258]

イメージ
クリックして拡大
文字どおり海を望む千綿駅のホーム。この日の午前中は霧がかかって、ご覧の通り水平線と空が一体となっていた。
今回は、海を臨む駅として知られる、長崎県の千綿(ちわた)駅を紹介します。
JR大村線にある駅ですが、ピンとくる人はともかく、そうでない人にとっては長崎県のどのあたりにあるか想像しづらいものと思います。
長崎空港は大村湾に浮かび、南に約20キロで長崎駅、北に約20キロでハウステンボスという位置にあります。その長崎空港からハウステンボスに向かう途中に、この千綿駅があります。
大村線は文字どおり大村湾に沿って走る路線ですが、なかでも千綿駅前後は大村湾を眺めて走る気持ちの良い区間です。その千綿駅は、ご覧のとおりホームと線路の先はすぐに海となっています。さらにホームをよく見ると、Sカーブの途中に駅があることが判ります。このため、ハウステンボス方面への列車は、先頭車が海側に少し傾いて停車します。まるで、海をのぞき込んでいるようですよね。
普通列車しか停まらない無人駅ですので、昼前後は上下列車とも2時間に1本しかありませんが、この景色を求めての来訪者が後を絶ちません。


イメージ
クリックして拡大
雰囲気の良いレトロな駅舎のむこうに海、傍らにはお似合いの丸ポストがある。
海の景色は良くても、駅舎はがっかりという駅が少なくないのですが、ここ千綿駅は、ご覧の通り駅舎もレトロでよい雰囲気です。
てっきり長年経った駅舎だと思ってしまいがちですが、平成5(1993)年に改築した建物だそうです。ただし、昭和3(1928)年建造の旧駅舎をできるだけ活用したそうですから、こんなに良い雰囲気になっているのですね。
駅舎は6段の階段を登ったところにあり、バリアフリー用のスロープも左手に見えています。駅舎を抜けたところには、さらに5段の階段が見えています。もとの駅舎は、地面にそのまま建てられたため、駅舎を抜けた先で10段近くの階段を登ってホームになったそうです。また、水害で床下浸水することもあったとのことです。
これらの対策として、コンクリートで嵩上げをしたいまの駅舎になりました。その際に、駅前にある郵便ポストを昭和を感じさせる赤い丸ポストに変えたようです。
昨年、筆者が訪れた時には無人駅でしたが、その直後にこの駅舎を利用した千綿食堂
がオープンしました。カレーショップだそうで、付近に飲食するところがなかっただけに、便利になりました。駅舎の待合室をそのまま使っているとのことですので、海を眺めながらの昼食は、気持ちが良いでしょう。入りくんだ大村湾ですので、波は静かで穏やかです。季節が良ければ、さわやかな海風が吹き抜けるのでしょうね。


イメージ
クリックして拡大
当駅を使った「青春18きっぷ」ポスター、景観資産の登録証、ななつ星通過時間などが壁に掲げられている
駅舎内の壁には、興味をひく掲示物が掲げられています。
ホームへと向かう扉の上には、「青春18きっぷ」のポスターがあります。よくみると、この千綿駅の写真を使ったものです。このポスターが2014年冬の青春18きっぷに合わせて全国の主要駅に貼り出されたことで、海を臨む駅としてさらに知られるようになりました。
写真の右側に縦に並んでいる掲示物は、上から次の通りです。
   ・長崎県 まちづくり景観資産 登録証
   ・「ななつ星 in 九州」の通過時間案内
   ・千綿駅のプロフィール
「まちづくり景観資産」は、平成15年にはじまった長崎県独自の登録制度で、2017年当初の段階でまちなみ29件、建造物179件、樹木2件が登録されているそうです。その建物のうち1件が千綿駅舎ということです。平成25年に登録されています。
その下にある「ななつ星 in 九州」の通過時間案内には、毎週土曜日17:30と記されています。それだけのことですけど、なかなか手の込んだ銘板での掲示ですよね。
「ななつ星 in 九州」は、日本のクルーズトレインの先駆者として知られていますが、九州を襲った相次ぐ災害で、3泊4日コースは何度も経路が変わっています。しかし、長崎方面の1泊2日はここまで目立った災害がないことから、コンスタントに毎週土曜日の夕刻通過となっています。季節によっては、ちょうど日暮れのタイミングですよね。
車両の検査等で運転されないこともありますので、事前に確認が必要ですが、週末にこの方面に行くなら、ひと目見るのも良いでしょう。佐世保から長崎に向かっていくので、海に向かって右から左へと通過することになります。
なお、一番下の「千綿駅のプロフィール」は、ここまでに記してきたことを簡潔に案内したものです。


掲載日:2017年10月20日


●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。