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汽車旅ひろば - ひろやすの汽車旅コラム

汽車旅ひろば


  • ひろやすの汽車旅コラム
"鉄道フォーラム"代表の伊藤博康氏による鉄道コラム。
毎回幅広いテーマの中から、「乗ってみたい」「知って良かった」「へぇ~」な汽車旅関連の話題をご紹介します。お楽しみに!

空港連絡鉄道の先駆け、東京モノレール開業から50年 [No.H106]

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京葉運河上に造られた路線を走る、東京モノレール。
山手線の浜松町駅と羽田空港を結ぶ東京モノレールが、9月17日に開業50周年を迎えました。開業は、1964(昭和39)年9月17日のことでした。2週間後の10月1日には東海道新幹線が開業し、10月10日には東京オリンピックの開会式が開かれるという、まさに昭和の高度経済成長時代を代表する秋でした。
当時、日本の空港はまだ整備が始まったところで、空港アクセス鉄道はこの東京モノレールが日本初のものでした。アルヴェーグ式と呼ばれる、軌道に車両が跨がる跨座式モノレールです。東京モノレール開業の2年半前となる、1962(昭和37)年3月21日に名古屋鉄道が日立製作所と組んで、犬山遊園~動物園間のモノレールを同方式で開業しています。その実績を踏まえて、東京モノレールを造ったのでした。なお、先行開業した犬山モノレールは、2008(平成20)年12月27日をもって廃止となっています。
東京オリンピックに間に合わせるように造られた路線は、用地取得の容易さから、東京湾近くの京浜運河上などに敷設されました。それだけに、いま乗っても視界の広い爽快感のある車窓を楽しめます。



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昭和島駅で普通列車(右)を待避させ、同駅通過で追い越す空港快速(左)。東京モノレールならではの光景だ。
東京モノレールは、開業時には空港輸送に特化していて、両端駅しかありませんでした。しかし、その後に途中駅を順次開業し、沿線開発もされた結果、いまや天王洲アイル等への通勤路線にもなっています。また、羽田空港の沖合展開に合わせての線路付け替え、駅の移転なども繰り返して、現状の姿となりました。なお東京モノレールは、2002(平成14)年からJR東日本の子会社となっています。
一方、競合する京浜急行電鉄も羽田空港に直接乗り入れる空港線を整備し、蒲田駅改良にも力を入れたことで利用が伸びます。その対抗上、東京モノレールは快速運転に力を入れています。その中でも特徴的なのは、2007(平成19)年3月18日にはじめた、昭和島駅での空港快速による普通列車の追い越しでしょう。モノレール線は全駅停車が一般的で、快速運転そのものが珍しいのですが、さらに先行列車を待避させて追い抜くという運転は、東京モノレールだけが実施していることです。日中の普通列車に乗ると、上下列車ともに昭和島駅で空港快速を待避するところを経験できます。空港快速は乗車率が良いだけに、急いでいないときには、すいていて車窓もゆっくりと楽しめる普通列車がお勧めです。



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上空には着陸態勢の飛行機。その左下には「海ほたる」、遠くに見える山並みは房総半島。
ところで、2013年9月27日付の当コラムでは、羽田空港国際線ビル駅のホームに“フォトスポット”が開設されたことをお伝えしました。その際、次の一文も記しています。
***
飛行機が南から滑走路に進入するならより構図をとりやすくなります。また、湿気が少なく遠くまで見通せるときだと、東京湾を行き来する船や、房総半島に渡る高速道路のパーキングエリア“海ほたる”も見えます。
***
これから寒くなり、北風が吹くようになると、この光景が見られるチャンスが到来します。右の写真は昨年12月15日に撮影したものです。まさに昨年9月に記した条件が揃ったタイミングでした。 東京モノレールは、今年、新車10000形を導入しました。既存車である1000形と2000形、それに1000形を3種類の旧塗装にした編成もあり、いま計6種類もの車両が走っています。旧塗装は、1000形登場時の塗装、先代の500形の塗装、それに開業時の塗装です。
車両バリエーションの楽しみに加え、車窓の楽しみに、待避・通過といった運転バリエーションも楽しめる東京モノレールは、意外にも乗って楽しめる乗り鉄向けの鉄道です。



掲載日:2014年09月19日


●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。


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いま、銚子電鉄が面白い!! [No.P011]

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銚子電鉄と言えば「濡れせんべい」。1日フリー切符の「弧廻手形」を買うと、犬吠駅で1枚プレゼント。
日本に数多い鉄道会社の中で、路線延長が10kmに満たないところがいくつかあります。そのひとつが関東の最も東を走る「銚子電鉄」です。
NHKのドラマ「澪つくし」の舞台となり、その名を付けたトロッコ車両「澪つくし」号を走らせるなど、以前から鉄道ファンだけでなくたくさんの観光客の注目を集めてきましたが、最近では「濡れせんべい」が大人気と、話題が豊富なことには変わりありません。

「澪つくし」号はすでに引退してしまいましたが、今もここを走るは鉄道ファンに人気があります。それは6両の電車が在籍していますが、全て他の鉄道会社からやってきたものばかり、しかも元の会社ではすでに引退しているため、ここでしか雄姿を見られないという貴重な車両たちだからです。


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犬吠埼の灯台を見ながら走る1000系。赤い電車もかなり馴染んで来ました。
単行で運用に就く1000系は、かつての営団地下鉄2000系で、銀座線カラー、丸ノ内線カラーに塗られ走っています。

















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アイボリーホワイトの2000系。夏でも涼しい冷房車です。
2両編成の2000系は、伊予鉄道800系でしたが、その前は京王電鉄3000系として関東を走っていた車両で、グリーン、そしてアイボリーホワイトに赤帯と京王電車を彷彿とさせる塗色になっています。











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古豪デキ3は仲ノ町の構内にいます。90歳を過ぎて、今なお現役です。
そして忘れてならないのが、1067mm軌間では現存する最小の電気機関車「デキ3」。全長がわずか4.5mしかありません。鉄道車両全体を写真に撮る時、普通は横長の画面に収めますが、この機関車は縦に構えるとちょうどいいという、なんともかわいい車両です。
1922年ドイツ製という舶来モノですが、今でもちゃんと走ることが出来るので、イベント時には構内を行ったり来たりしています。ただ、車籍がないので本線を走ることが出来ないのがなんとも残念です。










こうした貴重な車両がたくさんいる銚子電鉄。仲ノ町の車庫は、入場券を購入すれば見学が可能なので、鉄道ファンがやってきてはデキ3をはじめとした車両の撮影していきます。
そこで、夜ライトアップしてみたら、デキ3が昼間とは違った雰囲気になるのでは、ということで9月6日(金)、「ミッドナイト撮影会 in 銚子電鉄」を開催することになりました。
詳しくはサイトをご覧いただくとして、鉄道写真家の広田 泉さんのご協力をいただき、ちょっと変わったライティングを考えています。
滅多に出来ない貴重な企画ですから、ぜひ体験してみてはいかがでしょうか。


そして、銚子電鉄のイベントは鉄道ファン向けばかりではありません。
「愛の"銚子伝説"」と銘打って千葉県初の「鉄コンby銚子電鉄」も開催するとか。
9月21日(土)の日帰り企画で、東京・船橋から貸切バスで出発、テレビで話題のイルカウォッチングや銚子の観光名所をまわり、また銚子にまつわるクイズなど様々なイベントを用意されているというもの。目標は5組のカップル誕生とか。

仲ノ町に停めた電車の中で金魚すくい「電車でGYO」や、「車両清掃体験」など、鉄道を舞台に様々な楽しさを提供してきた銚子電鉄。
これからも多くの方に楽しんでもらえる企画が登場することでしょう。
会社は小さくても、楽しさはデッカイ銚子電鉄、目が離せませんね。




掲載日:2014年09月19日


●伊藤 博康(いとう ひろやす)
(有)鉄道フォーラム代表。愛知県犬山市生まれ。パソコン通信NIFTY-Serve草創期から鉄道フォーラムに関わり、1992年から運営責任者。(有)鉄道フォーラムを設立後、独自サーバでサービスを継続中。著書に「日本の “珍々”踏切」(東邦出版)「鉄道ファンのためのトレインビューホテル」「鉄道名所の事典」(東京堂出版)がある。現在、中日新聞社「達人に訊け」でもコラムを連載中。